軍師見習いのつぶやき

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「野球小説 続・プレイボール」の好きなところ③

こんにちは。

南風の記憶さんが、はてなブログで書かれている『「野球小説 続・プレイボール」の好きなところ』の3つ目です。

3つ目の好きなところは「南風の記憶さんのオリジナリティー」です。

原作のプレイボールは谷口が3年生の春、新1年生の部員を迎え入れ、甲子園で活躍した第一シードの谷原高校との練習試合で大敗したところで終わっています。

その続編を書くためには、原作の登場人物や設定だけでは足らず、どうしてもオリジナルの登場人物や設定が必要になってきます。

そして難しいのは、そのオリジナルの登場人物や設定は、続編の作者が独自に考えなければなりませんが、完全に自由というわけではなく、原作の世界観に適合する登場人物、原作の世界観からの連続性のある設定(趣旨として大きく外れない設定)という枠組の中で考えなければなりません。
もちろん、原作のキャプテン・プレイボールのファンのことを考えれば、そうせざるを得ないという側面もあります。


南風の記憶さんは、この「大きなバックボーンを背負ったオリジナリティー」という難題に果敢に挑み続け、そしてそれをクリアーし続けています。
この厳しい作業は、南風の記憶さんが続編を書くのをやめるまで、ずっと続きます。

原作への愛と深い理解、そして自分の続編で原作ファンの気持ちに少しでも応えようという強いモチベーションがなければ、この厳しい作業を続けることはできません。

大まかな正解は概念的・抽象的に決まっているのに、具体的な描写としてはオリジナリティーが求められる。
とても苦しい作業です。

これを分かったうえで続けてくださっているからこそ、私は南風の記憶さんの大ファンで、「野球小説 続・プレイボール」の大ファンなのです。

南風の記憶さんが作り出したオリジナルの登場人物・設定はたくさんあります。
どれも好きなのですが、1つずつ好きな登場人物・設定を挙げたいと思います。

【登場人物】
西将学園高校 高山

西将学園高校は、関西の野球名門校で、高山は4番打者でポジションはキャッチャーです。

関西弁を操り、おしゃべりで慇懃無礼。でも、打者としてはプロが獲得を狙うほどの長打力とバッティングセンスの持ち主。キャッチャーとしても頭脳的リードと強肩でチームを引っ張ります。

確かにオリジナルキャラクターです。

でも、初めて墨二と対戦したときの青葉学院や初めて墨高と対戦したときの東実ような相手を見下す態度。強豪校としてのプライド。
そして谷口達のプレーを見て、その実力を冷静に分析して理解し、以後ある種のリスペクトを持って対峙する谷原の佐々木や東実の佐野のような観察眼と姿勢。

これらの点では、原作のバックボーンの範疇に入ります。

【設定】
墨谷高校に入学した片瀬が中学生時代に野球から離れていた理由が「成長期で急に背が伸びて重心が変わってピッチングフォームが崩れ、これを修正するために無理な投げ込みをして膝を故障した」であったこと。

原作における片瀬の情報は、①リトルリーグでチームを地区優勝に導いたエースピッチャー②野球から離れていた中学生時代も大きな野球の大会は観戦していた③実直で腰の低い性格の3点です。

これらの情報と原作の世界観から考えれば、片瀬が中学生時代に野球から離れていた理由は、簡単なものではないということになります。

ただ、当時子どもだった私には、その理由は、想像がつきませんでした。
そして、想像ができないまま原作プレイボールは終了し、分からずじまいでした。

しかし、南風の記憶さんの設定を小説で読んだとき、とてもしっくりきました。

原作における情報を全て踏まえたうえで、南風の記憶さんの野球についての豊富な知識を取り入れた、無理のないオリジナリティー溢れる理由だったからです。

長身のオーバースローのピッチャーが膝を痛めやすいというのは、南風の記憶さんの野球知識に基づくもので、膝の故障が原因というのはオリジナルな設定です。

野球を続けるために、これを克服しようと無理な練習をするというのは①や③を踏まえています。

そして中学生時代は野球から離れて治療に専念し、高校での復活を期す。そして実際に高校で野球部に入部してがんばるというのは、さらに②も踏まえています。


高山・片瀬のどちらも「大きなバックボーンを背負ったオリジナリティー」という難題をクリアーして余りあると思っています。


以上「野球小説 続・プレイボール」の好きなところ』の3つ目、「南風の記憶さんのオリジナリティー」でした。


stand16.hatenablog.com


読んでくださりありがとうございました!



P.S.南風の記憶さん、先日は「準々決勝 明善戦」の記事に追加のコメントありがとうございました。
お礼のコメントをしたのですが、「もっと見る」ボタンを押さないとそのコメントが表示されない状態なので、もしかしたら気づかれていないのでは・・・と少し心配しています。
もし、まだ読まれてないようでしたら、お時間のあるときにでも。